産婦人科NSは一般の病棟管理業務、すなわち受付・記録・保管・準備や、
後始末の作業・各種警報や医療情報のモニタリングなどの業務のほかに、
1.分娩手術部の管理。
2.新生児のケア。
3.授乳、沐浴などの指導といった業務が加わる。また見舞客の多さも特徴的である。 .
何十年も経つようなクリニックでは非常に狭いNSが多く、 受付カウンターを兼ねた記録机とシンクがあるだけのことも珍しくない。
看護学や医学の発達により、申し送りや記録作業は重要視され、 新たな検査法、処置法が導入されて器材や作業のためのスペースが必要となり、 ディスポ製品が増えるなどで、ストックヤードも拡大しつつある。
しかしNSの拡張は、院内の別の場所に移転でもしない限り困難な場合が多い。
病棟内移転が可能ならば、NSの位置としては次の要件を満たすことが望ましい。
ガラスや壁で仕切らない、大部分がオープンなNSの例が大病院を中心に増えている。
クリニックではスタッフが少なく、NSが無人となることも多いため、カルテ、薬品、器材、 そしてベビーの管理上問題がある。
ただし受付けカウンターだけでもオープンにするなど、開かれた雰囲気造りは重要。
ベビーの盗難事件はここ数年おきに世間をにぎわしている。
新生児室への入室は必ずNSを経由すべきである。
新築の産婦人科でも一般廊下から出入りできる例を見かけるが、危険といわざるを得ない。
NSからの出入り口にもロックを設置すべきである。
以前は閉めると自動的に錠が閉まるホテルロックをよく使ったが、開錠が面倒でナースからは悪評だった。
最近は指紋照合方式などのメカが安くなってきている。
なお最近の傾向としては、母乳が見直されてきた結果、 母児同室の時間が長くなり、新生児室でのベビーの在室時間は少なくなりつつある。
従って、新生児室を小さくしてNSなどをを広げることも検討されて良い。
対面コーナーでは高齢の対面者も多いため、 対面者が椅子に座ってベビーを眺められるなどの配慮をしたい。
以前は分娩室の近くに沐浴槽を配置し、産湯に対応したが、最近は体温低下の危険から、 清拭だけとするケースが増えている。
従って沐浴槽の位置も新生児室近くの沐浴指導室にだけ配置することが多くなった。
指導のために複数台設置したり(写真1)、 沐浴槽ではなく家庭で使うベビーバスで指導する例もある。(写真2)
授乳指導室は新生児室に隣接するか、ごく近くに設ける。
新生児室との連絡口は新生児室側からロックできて、授乳室側からは取っ手も付けないなど、 新生児室への侵入対策が必要。
患者も利用するこれらの部屋は、とりわけ清潔感のある部屋としたい。
患者の手洗いが調乳シンクと兼用、ではまずい。
<写真1>
沐浴槽が2台設けられている。
なお調乳室は清潔保持のため、指導室内の一画に、別室として区画されている。
<写真2>
沐浴槽は市販のベビーバス。家庭でそのまま役立つ指導を考えた結果、この形になった。
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