計画する時、「広い病室を」とか「広い分娩室を」と言われても大体何とかなる。
一方、こわいのは「病室をもっと広く」との要望。
1〜2室を広くするのと異なり、病室を広くする事は10室以上にわたる事が多く、 面積オーバー、予算オーバーの事態がすぐに見えてくる。
ボヤキはともかく、最近の病室は個室中心で、一般的な装備は、 ナースコールや空調機の他、便所、洗面、ロッカー、机、ソファベッド、TV、電話といったところ。
更に余裕のあるところは、各室シャワー付、有線チューナー付、 ソファベッドではなく個室に2つのホテルベッドの他に応接セット、などとなっていく。
上を見ればきりがない。
最低、気をつけたいのは、ストレッチャーのベッドサイドまでのルートの確保。
そのために病室出入口の幅のチェック(廊下の幅員との関係できまる)や 壁の出隅部へのストレッチャーガード等が必要となる。
ストレッチャー対策上、一番面積が少なくてすむ配置は図1のように、 ベッドとソファベッドを平行に配置、その間をストレッチャー進入スペースとするプラン。
だが大きな問題もある。
通常病室は南面することが多く、その場合、日本では北枕をさけるため患者の枕が窓の方に置かれる。
すると外が見えなくなってしまうのがおもしろくない。
図2はベッドを窓と平行に配置する案。
ストレッチャーを90゜回転させる必要があるのと、部屋の間口が図1に比べ50cm以上広くなり、 面積が大きくなるが、患者の快適性という点ではこれが一番。
病室内収納で注意したいのは、入院時に持ち込む荷物の置き場所。
大きなバッグ(ドラムバッグ)2個くらい持ち込むので小さなロッカーでは入りきらない。
TVは院内で教育用VTRを定時に特定チャンネルで放映し、希望者に見てもらうシステムも簡単。
患者同士のコミュニケーションや、見舞客とのおしゃべりに病棟に設けたラウンジは有効。
さらに、下見にきた客にとって、ゆとりのある院内空間を印象づける決定的な要素ともなる。
病室を一部屋つぶしても設けたいのがラウンジ。
シャワーの脱衣室を出るとパウダーコーナー、その隣にシャンプーコーナーといった構成はよく要望される。
後からの調査でもよく利用されている。
入院患者同士が同窓生の気分になってくれればしめたもの。 患者同士のコミュニケーションはだから大切。
誕生日、クリスマスなどの他、月に一度の薬膳パーティなどを企画して、 患者予定者も口コミ参加でにぎわうケースあり。
患者食堂はそんな場所にうってつけ。ただし厨房に隣接しないとサービスが大変。
以上、スペースさえあればいろいろ手があります。
既設医院の改装の場合、病室を減らさねば困難なことが多く、つらいところ。
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