新築の場合、スリッパに替えず下足のままとすることが多い。妊婦も楽だし、子連れならなおさらであろう。
既設の施設では履き替えを求める所が多い。しかし玄関廻りをもう一度よく見渡せば、脱ぎおかれた靴、
不潔っぽいスリッパ、そして殺風景な下足箱とそれによって狭くなった玄関など、気付かされる事柄が多い。
玄関の印象は大事にしたい。土足のまま、とすればかなりの問題を解決できるかもしれない。
土足のまま、に変える時には次の点に注意したい。
・玄関マットは必ず設ける
雨に濡れた靴は硬い床では滑り易いので、よくぬぐってもらう必要がある。 雨天時には枚数を増やすのもよい。
・段差はスロープで
下足・上足の境界の段差はスロープで処理する。 特に5cm前後の目立たない段差の時には事故を防ぐためにも必ず設ける。
10cm以上の段差の時にはそのままでもよいが、 車椅子や老人の利用を考えればスロープ設置が望ましい。
・掃除はこまめに
下足にすればやはり床は汚れやすい。
また、床材がカーペットなどの場合、種類によっては掃除しても追いつかないこともあり、 床材の検討が必要となる。
なお、いきなり全館下足ということでなくても、病棟入口でスリッパに替えてもらうなどやり方は多種あろう。
多雪地域であるとか、既設床材の制約などから土足にできない場合もある。その場合、 スリッパの扱いは重要である。
季節によって変える、殺菌灯付スリッパ棚とするなど、清潔感のある演出に努めたい。
患者を待たせない工夫があれば、働く女性や子供のいる女性にとってありがたい。
一番簡単なのはノート記帳型。一時間に5〜6名の枠とし1人を新患用に空けておき、他を再来用とする。
さらに高度なのが自動電話予約システムの導入。24時間パソコンが自動予約してくれる。
待たせない、ということが診療圏の拡大にもつながる。
一方、「予約なしでは診てもらえない」という誤解が生じることもあり、告知方法や運用に要注意。
少子化にともない、患者の初産率は高くなる。
「未経験の不安を抱えた学歴を有する女性」というのが 患者の一つの典型ではないだろうか。
陣痛促進剤の話題などの妊娠、出産に関わる正確な情報が 多ければ、患者の安心感、信頼感につながる。
専門誌の記事などを貼る大きな掲示板と、 分野別スクラップブックやパンフレットを置くスペースが必要である。
(右写真:情報発信基地としての待合室(若葉台クリニック・小児科・名古屋))
増改築などで面積増を前提にできる工夫ならば更にいくつも提案できる。
プレイコーナー、おむつ交換スペース、授乳コーナーの確保などなど。
重要なのは現状を改良の対象として見ること、思いつきでなく、 マスタープランに基づいた改良を心がけることである。
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